調味料として様々な用途でも使われる「塩」、その塩ですが私たちの生活を支えるために塩が使われている物は食べる用途よりもとてもたくさんあるのです。
目次
塩の定義
「塩」とは 塩化ナトリウム(化学式 NaCl) というナトリウムの塩化物と定義されています。
食塩と同等の意味合いで用いられることもあるが、厳密に言うと食塩の方が狭義です。
人も含めて地球上のほとんどの生物によって、塩は生きていくために必須のナトリウム源になるほど重要な物質ですね。
塩はどんな形をしているの
みなさんは塩の形をみたことがありますか?
塩の結晶の基本形は、正六面体なんです。この基本形が成長環境・条件によって組み合わさってサイコロ状・球状・ピラミッド状など他にも様々な形の結晶ができるんです。面白いですよね。
では、塩はどんな用途に使われているのか見ていきましょう。
塩の様々な用途
では、塩の用途について見ていきましょう。用途別に下記の4分類に分けてみました。
一般家庭で食塩として使われるものは飲食店等も含めて生活用(飲食)がわずか1.4%にとどまっており、工業用が一般工業含めて93.9%とほとんど工業用としての用途で使われていることが分かった。
出典: 財務省 令和3年度塩需給実績
では具体的に、それぞれの分類ごとにどういった使われ方をしているのか見ていきましょう。
①生活用(飲食)
味付け
ご家庭にある食塩としての使い方で、主に味付けなどに使われます。
よく塩を加えると素材の味を引き立たせるといいますが、その原理としては塩を加えることで塩のナトリウムイオンが食材と結合することで、風味を増す効果があると言われています。
脱水・防腐
漬物など長期保存する際に使われます。
漬物など食品を塩漬けすることで、浸透圧により細胞から水分がでてくることで、腐敗菌の活動を抑制することができます。
うどん・パンなどグルテンの引き締め
グルテンの引き締めを促進させ、生地の弾力性を上げるのに使います。
パンやうどんを作るときに、塩をよく使う理由として弾性を上げるだけでなく、べたべたとした粘着性を減少させる効果があります。
実際に生地に食塩を添加することで食塩が生地の微細構造に影響を及ぼしていることが分かります。
発酵を促す
塩は発酵を促進する効果もあります。
野菜の漬物を作る際に、前述した脱水・防腐の効果だけでなく野菜の乳酸菌を増やすことで発酵をすすめる役割があります。
②業務用(食品工業)
食品製造用
食用として消費される食品製造・加工のための用途で使われます。
先ほど記載した 用途①: 生活用(飲食)と同様の使われ方をしているイメージですね。食品工業用としての使われ方は、主に加工食品や醤油の製造でほぼ半分を占めています(令和3年実績)
③業務用(一般工業)
医療用として使う
生理食塩水として使われるケースです。
生理食塩水も塩化ナトリウム水溶液ですが、人の体液とほぼ同様の浸透圧に調性されたものです。ちなみに、生理食塩水は薬事法により処方箋無しで薬局店頭で販売はできません。
道路の凍結防止
路面の凍結防止としても使われます。
塩水というのは凝固点は0℃以下で濃度によって約-20℃まで下がるため、雪が降る前に路面などに撒いておくと塩水となり凍結させずらくする効果があります。
凍結防止剤は用途によって塩化マグネシウム・塩化カルシウムとしても使われます。
医薬品
薬の製造にも塩は重要な役割を果たしています。
いくつかの理由の1つですが、薬を飲むときに腸から体内にすぐに吸収させるためです。水へ溶けやすくするために塩を形成させます。
革製品
革製品の製造にも塩が使われるケースがあります。
革用品を作るときに、「なめし」といって革を安定させるためになめし剤として塩を使う方法があります。
④工業用(ソーダ等)
ソーダとは、かせいソーダ・ソーダ灰当の製造に使用されるものです。
水道水
私たちが蛇口をひねって出てくる水ですが、消毒のため塩素が含まれています。
塩素とはClですが、元は塩を水に溶かして電気分解することで塩素を生成しています。日本ではイオン交換膜法を採用しており陽極部に食塩水・陰極部に水を注入して電気分解することで塩素・かせいソーダ・水素を生成します。
ティッシュペーパー・新聞
ティッシュペーパーや新聞紙などにはパルプという植物繊維が使われております。
その中でも木材パルプの製造時に木材を溶かすために使われます。
ガラス製品
ガラスを作るときに、材料の1つとして塩が使われます。
ガラスの一般的な原料は珪砂・石灰石・ソーダ灰の3つですが、ソーダ灰というのが塩から作られる無水炭酸ナトリウムを使います。
その他、身の回りにはたくさん塩が使われている
他にも塩が使われているものがたくさんあります。
あなたの身の周りにも、塩がどれだけ使われているのか見つけてみるのもいいかもしれませんね。
参考文献
・塩百科