「ここまで出てきてるんだけど・・・」喉まで出かかって思い出せないTOT現象の原因と対策

『あ~、喉まで出てきてるんだけど思い出せない・・』という経験は誰しもあると思います。これはTOT現象と呼ばれ、何かを思い出そうとした際に、その単語の意味や内容を完全に思い出せず、舌先でぼんやりと感じる現象のことを指します。この現象は、特に年齢を重ねるにつれてよく起こるようになります。今回は、TOT現象について、その由来や人が記憶する過程に着目し、詳しく解説していきたいと思います。

TOT現象の由来

「喉まで出かかっているのに思い出せない」現象は心理学用語で、TOT現象と呼ばれます。

*TOT・・・Tip of tongue phonomenon

TOTが泣いている顔にも見えますが、舌の先(Tip of Tongue)の頭文字を取ったもので、”It’s on the tip of my tongue”という海外のことわざに由来しています

ちなみに例として、こんな使い方をします↓

uh …whatchamacallit? Its on the tip of my tongue .

(えーと、あれ何て言うんだっけ。。喉まででかかってるのに。。)

話が少しそれましたが、なぜこのような現象が起きるのかまずは、記憶を思い出すプロセスから考えていきましょう。

人が記憶する過程について

人が物事を記憶し、思い出すまでのプロセスは以下のフローとなります。

①記銘

②保持

③想起

人が記憶する過程は、「記銘(きめい)」「保持(ほじ)」「想起(そうき)」の3つに分類されます。記銘とは、情報を短期間の記憶として脳に取り込むことであり、保持とは、その情報を長期的な記憶として脳に保存することです。そして、想起とは、保存された情報を再び呼び起こすことです。TOT現象は、保持された情報を呼び起こそうとした際に、想起が不完全な状態で行われることによって起こります。

TOT現象が発生する原因

wikipedia – Tip_of_the_tongue

実は原因は正確には分かっていませんが、現在「Direct access view」 、「Inferential view」 の二説が提唱されています。

Direct access view – ダイレクトアクセスビュー

ダイレクトアクセスビューにも主に3つの仮説があります。

ブロッキング仮説

ある物事を思い出すときに、その対象の関連する事柄が想起されることで正しい事象を想起させるためのプロセスをブロックします。この関連する事柄は本来想起したい内容ではないことを認識はできますが、想起が抑制されているため本来想起したい内容を想起することができないという状態になっているという仮説です。

不完全活性化仮説

これは記憶の記銘・保持が不完全にも関わらず、記憶者がその記憶の存在を感知できる場合にTOTが発生するという仮説です。

伝送喪失モデル

これは記憶領域の中で陳述記憶の中でのエピソード記憶・意味記憶が異なる脳内メモリに格納されることで、想起する際に別々に取得されそれらの情報の伝達・関連付けが欠損することで発生されるという仮説です。

Inferential view – 推論ビュー

推論ビューとは記憶に完全にアクセスできないわけでなく、断片的な情報のつなぎ合わせから生じるTOTの状態と考えられています。

Cue-familiarity理論

これは想起したい対象に対して誘発される強い感情によって、TOT現象を引き起こすという仮説です。

アクセシビリティヒューリスティック

これは想起する対象の情報・関連情報の量によってTOT現象を引き起こすという説です。目的の情報を想起するときに、記憶から取得される情報が多いほど、情報が目的に関連していると認識されるほどTOT現象が誘発されやすくなるとされています。

TOT現象を防ぐ方法

TOT現象は先ほど解説したとおり様々な要因で発生します。そのため対策としては一概に言えませんが一般的な対策方法を紹介します。それは情報をしっかりと記銘することが重要な要素となります。

例えば、学習する際には、メモを取ったり、要点をまとめたりすることが有効です。また、学習の進み具合に合わせて、復習を行うことも大切です。定期的に情報を復習することで、長期的な記憶として保存されやすくなります。

さらに、情報を思い出す際には、思い出すための手がかりとなるものを探すことが重要です。例えば、思い出そうとしている単語と関連するキーワードやイメージを想像することで、情報を思い出すのに役立ちます。また、思い出すための手がかりが見つからない場合は、一旦別のことに集中してから再度思い出そうとする方法も有効です。

最後に、TOT現象が起こった場合には、焦らずに深呼吸をするなど、リラックスすることも重要です。ストレスや不安があると、情報を思い出すのが難しくなってしまいます。また、他人に協力を仰ぐことも有効です。例えば、思い出せない単語を説明することで、その単語を思い出すことができることがあります。

以上のように、情報をしっかりと記銘し、思い出すための手がかりを見つけることが、TOT現象を防ぐためには重要です。また、TOT現象が起こった場合には、焦らずにリラックスすることが大切です。TOT現象は年齢や疲れによって起こりやすくなりますが、正しい方法で情報を記憶し、思い出す練習をすることで、改善することができます。

まとめ

・喉まで出かかって思い出せない現象はTOT現象という

・TOT現象の原因は、記憶のプロセス「記銘⇒保持⇒想起」の中で様々な要因によって引き起こされる

・TOT現象の対策は、一概には言えない。ただし、しっかり記銘をするために復習や関連付けをして覚える事。

・TOT現象が起こったときはリラックスしたり、一度別の事をして再度思い出すことも有効。

参考文献

wikipedia-舌先現象

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