細胞が癌化するメカニズムとは?生活習慣や遺伝子による影響も解説

日本の癌(がん)の状況において昭和56年より日本人の死因の第1位で、現在では、年間30万人以上の国民が、がんで亡くなっています。また、生涯のうちにがんにかかる可能性は、男性の2人に1人、女性の3人に1人と推測されています。(引用: 厚生労働省 – 政策レポート)

細胞が癌化するメカニズムは複雑であり、さまざまな要因が関与しています。遺伝子や生活習慣の影響が大きく、環境汚染や食生活の変化などが細胞の正常な機能を損ない、癌化を引き起こすことがあります。この記事では、癌化のメカニズムについて詳しく解説していきます。

癌細胞とは「制御不能で暴走状態の細胞」

癌化のメカニズムについて説明する前に、癌細胞とは具体的にどういったものかを説明します。

癌細胞とは簡単に言うと、正常な細胞から発生した制御不能な異常な細胞の事です。主に下記の特徴があります。

増殖性

がん細胞は、正常な細胞に比べて増殖能力が高く、無制御に増殖します。これは、がん細胞が細胞分裂を制御する遺伝子の異常や変異によって、正常な分裂シグナルを無視して分裂を繰り返すためです。

あたなの爪は切っても細胞分裂で適切な方向に延びますが、癌細胞のイメージは身体の命令を無視してあらゆる方向に勝手に延び続けていくようなイメージです。

転移性

がん細胞は、転移性を持っていることがあります。これは、がん細胞ががんの発生した部位から他の部位に移動して、新たながんを形成する能力を持っていることを意味します。転移性があると、がん細胞が体内の他の部位に転移して、がんの進行が速まることがあります。

細胞が癌化するプロセス

私たちの身体の中では常に数多くの細胞が分裂や死滅を繰り返しています。その中で、たまに細胞ががん化することがありますが、私たちの身体には正常な細胞とがん細胞を見分け、不要ながん細胞を修復あるいは排除するための仕組みが備わっています。

まず私たちの人体を構成しているのは約60兆個の細胞たちです。これらの細胞たちにも寿命があり毎日少しずつ入れ替わっています。その時、この細胞を作るための設計図になるのがDNA(遺伝子)です。しかし、このDNAというのは1日1細胞あたり1万~100箇所の頻度で損傷を受けており、通常は修復されますがまれに不完全修復された時に不適切なDNAができることで、そのDNAで修復・作られた細胞が癌細胞となるケースがあります。

またこの不適切なDNA(遺伝子)を癌遺伝子のここでは呼びます。この癌遺伝子を持つ細胞は再現なく同じ性質をもつ細胞を増殖・正常な細胞を癌化させていくのです。

実は健康体な体でも上記のようなDNAの不完全修復による癌化というのは日常で発生しているといわれています。しかし通常は癌抑制遺伝子により癌遺伝子を抑制させるブレーキと癌化細胞を死滅、DNAの修復という働きで結果的に細胞の癌化がほぼ抑制されているのです。

もちろん、DNAの細胞分裂など特定の機能を司る部分に損傷を負う事でも同様に細胞が癌化するケースもあります。

DNA損傷の原因は様々

上記で記載した通り、損傷したDNAは通常修復機能により正常なDNAに戻るまたは問題のある遺伝子は抑制・死滅させる機能が働きます。

しかしDNAの修復機能においては加齢によっても衰え続けていることや、DNAの損傷自体は紫外線や放射線、化学物質などの外的ストレスによっても引き起こされます。

具体的には生活習慣の乱れ・カップラーメンなど加工食品においても発がん性物質の含有有無に関わらず癌のリスクは高まります。例えば肝臓や胃の負担になるような食品を食べるだけでも臓器の損傷によりDNAの欠損・細胞が入れ替わるのですが、この入れ替わりが多ければ多いほど不完全なDNAにより癌化の細胞ができるリスクが高まるためです。

まとめ

・癌細胞は正常の細胞が異常化したもので、増殖性・転移性などの性質をもつ

・通常癌化しても癌抑制機能により正常な細胞に修復される

・年齢とともに癌抑制遺伝子の能力は下がること・細胞の異常化が増える

・生活習慣や体に負担となる食品の摂取は細胞の異常化を増進させる

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